森に沢山の木や草を育てたくても次々と鹿がやってきてほとんど食べてしまいます。
葉っぱを食べ、木の皮を剥いで食べ、枝を折って食べ・・・食べられた多くの植物は枯れていきます。
森に残って元気に育っている緑は外来植物のナンキンハゼ、常緑樹のソヨゴ、アセビ、シダ類、鹿が食べない植物ばかりで、森の多様性が急速に失われつつあります。植物が減ったことで森の保水力が減り、雨が降るたびに土壌の浸食も進み、木も倒れてしまい、ますます森は荒れる・・・悪循環ですね

さらに困ったことに2、3年ほど前から人間による鹿の餌付けが頻繁に見られるようになりました

池のほとりで毎日のように鹿に餌を与える人たちがいます。そして餌付けされた鹿の写真を撮る人々も沢山訪れます。
池の周りには餌やり禁止の立て看板もあるのですが、餌をあげる人が減る気配はありません。
必死に森の環境保全のために活動しているのに、一方では森のためにはならない行為が広まっているのでは本末転倒です。
そこで今年は鹿に餌を与えない事を広く呼びかけるキャンペーンを実施することにしました。
どうして野生動物に餌をあげるのはダメなの?と思われる方も多いかもしれません。
可愛い顔につぶらな瞳をした動物が寄ってきてくれる姿についつい持っているお菓子を分けてあげたくなる気持ち、動物好きの私も理解できないわけではありません。
でも、お菓子をあげる前に、ちょっと手を止めて鹿の行く末を想像してみませんか?
鹿を含め、野生動物が人から餌をもらう事に慣れてしまうと、極端に数が増えてしまったり、人への病気の感染源にもなります。また、宝ヶ池の鹿でもしばしば見られますが、不用意に近づいた人や子供が襲われて突飛ばされたり、ケガをする危険性が増します。
あなたのビスケットやクッキーによってさらに鹿の数が増えすぎてしまったら・・・
食べるのもが減って飢えて死んでしまいます。人への病気やけがの原因になったら、駆除されて殺されてしまいます。農作物への被害が大きくなるともちろん駆除されます。また、本来なら食べないお菓子などを食べることで病気になって死んでしまうこともあります。
でも、野生動物にはもともと自分で餌をとり生きていく能力があるのです。人の手を借りなくても生きていけるからこそ野生動物でいられるとも言えます。
宝ヶ池の森に鹿がいることはけして悪い事ではありません。森の大きさに見合った数であれば鹿も飢えず、人への被害もなく共生していけると思います。
共生とは、それぞれの動物の生き方を尊重し、その生き物らしく生きる姿を見守ることだと思います。
野生動物への餌やりは共生をのバランスを壊し、その動物らしく生きる権利を奪う危険性をはらみます。

このページを見られた方へのお願いです。
どうか野生動物にはけして餌をあたえないでくださいね。
宝ヶ池で鹿が寄ってきても手は触れず、森に追い返してください。
そしてできれば周りの方にも教えてあげてください。
宝の森をつくる会では、これまでの活動の中で森の木々の保全活動に取り組んできました。
市民の人達、学生さん、有識者の先生方、たくさんの寄付も頂き、みんなで協力して森に鹿除けのネットを張り、植物の保護に取り組んでいます。植物を保護することで森の植物の多様性が保たれ、そして鹿以外にもそれを利用するたくさんの種類の生き物が森に帰ってくるはずです。宝の森をつくる会は人と自然の共生を大切に活動しています。
多種類の植物に多種類の生き物が住む森、住宅地の中にそんな森があればすてきだと思いませんか?